「上北沢桜並木会議」発足までの経緯と現状
■ 上北沢桜並木の背景
地理・歴史
上北沢は、世田谷区では北部に位置し、甲州街道に接し、商店街の1/8は杉並区に属します。
旧上北沢1丁目(現桜上水4丁目)には、1026年創建の「勝利八幡神社」が在る古くからの街で、甲州街道開通(1604年)以前の古道「滝坂道」に接し、江戸時時代には、牡丹・枝垂れ桜・藤の名所としても知られ、江戸城の松の兄弟と言われている松が現在も残っている所です。
大正13年(1924年)第一土地建物会社が京王線の南側と北側に住宅地を開発してから宅地化が進み、特に当時の上北沢駅前広場から南西に伸びる約200mの桜並木は、桜新町の桜と並び有名でした。第一土地建物の住宅地には「桜通り自治会」が設立され、桜並木の管理も行なわれていた模様です。尚、当時の京王線では、上北沢が駅前広場のある唯一の駅でした。
1924年前後の住宅地は他に田園調布があり、成城学園は更に遅く1927年(昭和2年)以降に成ります。
尚、近隣の住宅地の開発は、上北沢5丁目、旧上北沢1丁目(現桜上水5丁目)も昭和初年にほぼ完了しており、上北沢は世田谷区内でも住宅地としては先駆的な土地柄でした。
この近辺は桜の生育に適している為か、其処此処に小規模の桜並木が多数ありましたが、現在では殆ど消滅しています。
「烏山ネットわぁーくショップ」との関係
2002年にこの桜並木が世田谷区の「地域風景資産」に選定されましたが、現状は桜の老朽化や、密植による成長阻害・大型車両による樹木の損傷・排気ガス等による表皮亀裂傷害等で以前の活力が無くなっている事から、区の烏山総合支所で毎月開催されている「烏山ネットわぁーくショップ」で問題が提起されました。
この為、「上北沢の桜並木を地域風景資産として恥かしくない姿に戻そう」との目的で、2003年4月11日にプロジェクト・チームが作られました。翌2004年に成り、チームメンバーを上北沢居住者中心に編成替えして、3月3日に第1回の会議を開催し(会の設立日)、4月の「桜祭り」を契機に本格活動をスタート致しました。更に6月には、区の信託ファンドも戴き、財政面での充実を得ることが出来ました。
この時点では、月例会の運営も含め、「烏山ネットわぁーく」のメンバーに全面的に依存しており、信託ファンドも多数の応援団の御蔭で戴けたと考えております。
活動スタート
最初の活動として、桜並木に関するアンケートを行ったところ、桜並木に対する想いと問題意識が、想定していた以上に大きかった事に驚かされました。この為、急遽会の体裁を整えメンバー増員の必要に迫られる事に成り、本格立上げ会議を7月25日に行い、新入会員による会の充実を期待しました。新入会員には新居住者も多く、旧居住者には無い新鮮な感覚で会をリードし、会の層が確実に厚くなり、それが活動にも大きく反映され、当初想定していた活動のレベル・アップが必要と成る等、実働会員数は期待したほど増えなかったものの、会の充実に関しては見込み通りの結果が得られました。
主要目的
上北沢桜並木会議の目的は、「桜並木の問題を核にした街づくり・コミュニティづくり」です。
他の同様の「プロジェクトチーム」と一味違う所は、「コミュニティーづくり」を掲げている所で、個人の自発的活動を大切にし、地区住民の話し合いの場として機能していくことを目標としております。
現在の上北沢3・4・5丁目・桜上水5丁目には昔も今も文化人が多く、又、八幡山には戦中戦後大宅壮一が住み、戦後の混乱期には「松沢教会」と共に文化の発信基地となり、特に、婦人運動が活発でした。
この様な嘗ての良き伝統を復活・継承し、新しい流れも取り入れて、「新松沢文化」を創り出そうとの雄大な理想を持って、「コミュニティづくり」を重要な目的に掲げている点が大きな特徴と考えています。
会員の特徴
目下のところは壮年層がメンバーの主力ですが、ようやく若い方の参加も増え始まりました。建築家や切り絵作家など多彩な人材を抱え、更に各種の才能有る人材の参加を勧誘中です。区職員も月例会・分科会などに常時5・6名出席されておられる為、区の考え方も解り易く、議論の空転が少なく結論が出やすいと言った特色が有ります。又、地域風景資産関連の委員が会員である事から、風景資産関連のグループとは交流も有り、特に「せたがや街並保存再生の会」からは積極的な助言・サポートを戴いております。
資金源
個人・法人の会費・寄付に依存しており、2004年度の「世田谷まちづくりファンド助成事業」にも応募、多数の賛同を得て助成を戴きました。但し、活動に際し会員に頼っていたパソコンは、会として独自に持たねば今後の会の活動に致命的な支障を来たす事が明白に成り、同助成事業ではパソコンは助成の対象に為らなかった為、自己資金で購入せざるを得ず、世話人各位からの寄付を購入資金に当てざるを得ませんでした。本年は、個人・法人会員の増加を積極的に進める予定です。
尚、古くからの和菓子屋で、「桜並木」ブランドの菓子を販売しており、当会の趣旨とも一致する事から、「桜並木」をPRする事で法人会員に加入して戴いています。
■ 活動内容・展開
1.桜並木の実態調査
当初は、何よりも先ず桜並木の現状を把握することが必要との観点から、地元出身の樹木医の協力と指導を得て、実態調査から開始しました。この過程で、桜そのものの勉強をする事に為り、通行人も参加したインスタントな青空教室が出現したりで、住民へのPR効果も有りました。その他、セミナー、読書会等も行なっています。
2.落葉清掃
昨年10月から12月まで日曜・木曜日の朝、周辺住民や児童の参加により、落葉清掃活動等を実施し、沿道住民や通行人から一応の評価を得ています。清掃活動で気が付いた事は、タバコの吸殻の多かった事で、何らかの対策が必要と痛感されました。
清掃活動には、途中から地区内に在る養護施設の児童達も参加して貰え、奉仕の喜びを感じてもらう事が出来た様に思います。
3.「上北沢桜並木通信」の発行
活動内容・調査等の結果を掲載した会報「上北沢桜並木通信」を作成し、並木沿いの家庭とアンケートに回答があった家庭に配付、その他の関係先も含めると配布先は約200軒に達しています。
4.ホームページの立上げ
発足当初よりの懸案であった「ホームページ」が、本年2月漸く立ち上がりました。是非皆様のご感想をお寄せ下さい。
5.地域のイベントへの参加
商店街主催の「さくら祭り」へ 昨年・今年参加致しました。
昨年は、「上北沢桜並木会議」と「桜並木が世田谷区の地域風景資産であること」をPRする事に主眼を置き、桜並木に関するアンケートも実施しました。上北沢町会の協力も得て370通の回答が寄せられ、最初のデータ・ベースとして大切に保存されています。
本年は、ヤヤ趣向を変え、桜並木の絵入Tシャツや、桜関連グッズを小規模ながら販売し、広い年齢層から注目を集めたいと考えていましたが、非常に好評でした。販売品も全て完売し、場所が桜並木の入り口で便利で目立った事も有り、目的は十分達成出来たのではないかと思います。
又、昨年11月には、地区の区民センター主催の「文化祭」へ参加し、上北沢の古写真・地図と桜並木診断の結果を展示すると共に、地元の樹木医によって、桜に関する「樹木医のたのしいトーク&トーク桜つれづれ」と題した講演会を行い好評を拍しました。
6.分科活動開始
現在「桜の木」「桜みちづくり」「桜モノものプロジェクト」の、3つの班が活動しています。
詳細はホームページの「活動内容」をご覧下さい。
■ 年間活動一覧
第1回現場見学(2003.5) 羽根木緑化部・森氏指導による現状説明会
第2回現場見学(2003.5) 施工業者・上保造園による施工内容説明
アンケート実施(2004.4) 「桜まつり」小間来訪者と、町会組織単位でも回覧板により実施
樹木医による見学会(2004.5) 石井先生の説明が解り易く好評
樹木医による桜の実態調査および診断 (2004.9) 個々の樹木のデータ・ベース化
桜並木の胸高周囲の測定、桜の木に関わる読書会(2004.9) 石井先生指導による
落葉清掃開始(2004.10〜12) 毎週 日曜10:00より、木曜8:00より実施
上北沢文化祭参加(2004.11) 石井先生の講演会と、桜並木の現状を図解展示
成城学園桜並木見学・会議(2004.11) 成城自治会との情報交換
桜診断(2004.11) 石井先生による単独診断に個別見学参加
落葉清掃活動終了に伴う福音寮児童向け「お汁粉大会」(2004.12)
桜モノものづくり班(2005.1〜) 桜関連グッズ類の開発(Tシャツやバッジは「桜まつり」で販売)
桜道づくり班(2005.2〜) 桜並木の道の観点での理想像検討
桜並木花芽調査(2005.1) 石井先生指導による花芽調査
烏山総合支所土木課との桜並木の将来に関する打合せ(2005.2 2005.3 2005.4)
標準木設定と観察開始(2005.3) 花芽の成長を毎日写真撮影
「上北沢桜まつり」参加(2005.4) 桜並木の絵柄Tシャツ等を販売大好評
アンケート(桜並木関連)実施(2005.4) 今回は上北沢1丁目自治会にも参加戴いた
■ 当面の重要課題
本年1月25日に樹木医の指導で桜の健康度をチェックし、将来植え替えが必要となる樹木の確認も取れたので、2月から、桜並木の有るべき姿と、その実現に向けて、世田谷区烏山総合支所と折衝を開始、極めて好意的且つ積極的な雰囲気で前向きに討議が進められております。
住民の桜並木に対する想いは、其の歴史と共に深いものが有りますが、「並木」としては密植・粗植バラバラで、桜にとって出来るだけ理想的な形態に近付ける必要が有ります。この点は「烏山ネットわぁーくショップ」でも最初から指摘されていた事でした。一方、住民に於いては一本一本夫々に思い出が有ったりして、老木を切ることに抵抗が有る場合も有り、理想的な配置・形態と一致するとは限らず、この調整が我々に課せられた重要課題として区から期待されています。
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